はじめに
中学受験の国語で多くの子供と保護者を悩ませる「記述問題」。

「どこを書けばいいかはわかるのに、答えがズレている」
「書いても、本文の言葉を丸写ししているだけ」
こうした「記述が苦手な子」の課題は、「理解の浅さ」か「言語化のつまずき」にあります。
ですが、それは特別な才能の差ではありません。
適切なトレーニングを積めば、記述力は確実に伸びます。
今回は、記述が書けない子がスラスラ書けるようになるための3ステップ練習法をご紹介します。
ステップ1:「設問を先に読む」習慣をつける
記述が書けない子は、本文をなんとなく読んで、なんとなく設問に答えようとする傾向があります。
これでは「どの情報が大事なのか」がわからず、的外れな答えになってしまいます。
まず大事なのは、本文を読む前に設問をチェックさせること。
なぜなら、国語は、大事なところしか問題に出ないからです。
「理由」「変化」「意見」など、
「読み取るべきポイント」「筆者が読んでほしいポイント」が問題になっています。

つまり、設問は文章を読み解くヒントなのです。
本文を読む前に読むべきポイントを先に頭に入れてから読むようにすることで、
読むスピード・理解度ともにアップします。
ただし、設問をなんとなく読むだけでは不十分です。
大切なのは、設問のどこがポイントかを意識的に読むことです。
たとえば、以下のような設問を考えてみましょう。
「このとき、主人公はどのように感じたか。理由も含めて答えなさい。」
このとき、意識すべきポイントは、
「このとき」=いつのことか(場面を特定する)
「どのように感じたか」=感情の変化・心理描写をする言葉はどれか
「理由も含めて」=根拠はどこにあるのか
といった設問の構造をチェックすることです。
これを意識せずにただ「なんとなく主人公は悲しかったと思う」と書くと、
根拠のない説明になり、点が伸びません。
大事なのは、設問を正しく先に読むことなのです。
ステップ2:「接続語・指示語」をたどる読みトレーニング
記述で答えがズレる子は、文章の「流れ」をつかめていないことが多いです。
その原因は、「接続語」や「指示語(これ・そのような など)」を読み流してしまっていること。
指示語・接続語は、文章構造をつなぎ、意味の流れを導いてくれる存在ですが、
普段の会話では無意識に使っているため、読解時には意識されにくいのです。
そして、実際に、「接続語や指示語が何をしているか」をきちんと説明できる子は意外と多いです。
つまり、「見えていない」のではなく「意識していない」だけなのです。
そこでおすすめなのが、接続語の役割や指示語の示すものを聞いてみるトレーニングです。
「この『しかし』は何を比べていると思う?」
「「このこと」はどのこと?」
こうした問いかけを繰り返すことで、本文の構造を意識する力がつき、
「しかし」を「だから」と読み違えるなどの記述の「ズレ」が減っていきます。
ステップ3:「自分の言葉で言いかえる」練習
記述問題に強くなるために欠かせないのが、「言いかえる力」です。
ただ本文を理解しているだけでは足りません。
そこから「自分の言葉」で、「設問の要求に合った答え方」で、「制限字数内にまとめる」
という、三段階の「言いかえ」が必要です。

そういうときにおすすめなのが、以下のような口頭での言いかえトレーニングです。
「この段落って何が書いてある?」
「それを40字くらいでまとめるとしたら?」
ここで大切なのは、文章をそのまま読んでいないかを確認することです。
間違えることを恐れてしまうのではなく、
多少たどたどしくても、自分の頭で考えて話す経験こそが力になります。
これは、塾の授業内容を話させるなどでも応用可能です。
このように、書く前に話して整理する習慣ができると、いざ書く段階で迷いがなくなります。
「こういう流れでまとめれば伝わる」という型が見え、
「この表現なら字数内におさまりそう」という感覚も育ちます。
結果として、記述問題に対するハードルが下がり、スラスラと書けるようになるのです。
書けないのではなく、「書く準備をしていない」だけ
記述が苦手な子を見ていると、「才能がないのでは?」と不安になるかもしれません。
でも、実際は準備が8割。書く準備が足りていないだけのことがほとんどです。
目的を持って読む
↓
流れをつかんで理解する
↓
理解したことを自分の言葉でまとめる
この3ステップを繰り返すことで、
記述問題が「苦手」から「ちょっと得意かも」に変わっていきます。
記述は、点差がつきやすい分、伸びしろも大きい分野です。
ぜひ今日から、少しずつトレーニングを取り入れてみてくださいね。
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